株式会社等では出資比率に応じて権限や利益が配分されます。そのため、出資者である株主は会社の経営方針等をチェックし、異議がある場合は株主総会等で質問したり株主提案により議案を出すことも可能です。
しかし一方で経営者と株主のベクトルが異なると、その調整に時間がかかったり、スピーディーな経営判断が下せない状況にも陥ります。
そこで、出資比率に関わらず、取り決めにより利益や権限の配分を自由に決定できる事業運営主体がLLPやLLCなのです。
<LLPって何だ?>
LLP Limited Liability Partnership =有限責任事業組合
LLPは2005年8月に施行された新しい事業運営主体で、構成員が集まって事業を行う組合です。出資のみでの参加はできず、構成(組合)員は全員、事業執行に参加することが義務付けられています。
構成(組合)員は個人・法人を問わないため、さまざまなジョイント事業を展開する際の受け皿と期待されています。
また、LLPは組合であり、法人格を有しないため、構成(組合)員に直接課税する「構成員課税」となります。構成員が他の事業で収入があり、一方、LLPで損失が出た場合、収入と損失が相殺され、所得税が減額になることがあります。
<LLCって何だ?>
LLC limited Liability Comnany =合同会社(新会社法による新設)
LLCは新会社法で創設される新しい会社形態です。その理念はLLPと同じで、出資比率に関わらず、利益や権限の配分を自由に決定することができます。
しかし、法人格を有するので、税金は法人税の課税があります。
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LLP |
LLC |
和 訳 |
有限責任事業組合 |
合同会社 |
形 態 |
組合 |
会社(法人) |
内部自治 |
利益や権限の配分は出資比率に関わらず自由に決定
取締役会や監査役の設置は不要
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必要員数 |
2人以上 |
1人から |
税 金 |
構成員課税 |
法人税 |
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新会社法により、1人株式会社を設立する場合は出資比率は関係なく、取締役会の設置も不要です。
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<LLPのデメリット>
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出資者(組合員)全員が事業活動に参加する必要があります。 |
A |
LLPは利益を上げて、それを組合員で分配するのが目的であるため、 報酬(給料)は払えません。 |
B |
法人格がなく、利益が内部留保されないので、融資が受けられにくいです。 |
C |
株式会社等にしたい場合、一度LLPを解散して、新たに株式会社を設立 しなくてはなりません。 |
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